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| 日刊ゲンダイ 2004年12月6日 これが話題の「電車男」だ! »
2004年12月04日
日経エンタテインメント 2005年1月号 次は映画化!? どこまで広がる2ちゃんねる発「電車男」現象
『電車男』の快進撃が続いている。10月に刊行され発売1カ月で45万部を突破 (11月25日時点)、今も毎週のように増刷を重ねている。
『電車男』はインターネットの掲示板 「2ちゃんねる」 の書き込みをまとめた単行本だ。年齢と彼女いない歴が同じという22歳のオタク青年(電車男)が、ある日電車の中で酔客にからまれている女性を助け、その女性からお礼にエルメスのティーカップを贈られる。電車男はそのいきさつを掲示板に書き込んだ。エルメス嬢にお礼の電話をしようか、デートに誘おうかと、もんもんと悩む電車男。
そんな彼に、デートの店選びから服装や髪型にいたるまで様々なアドバイスの書き込みが寄せられる。そしてそれを謙虚に受け止め、掲示板上で律儀に結果報告をする。彼の恋の行方を見守る掲示板の面々。その指導や励ましが功を奏し、電車男は見事エルメス嬢を射止め、ハッピーエンドを迎える。
3月から5月まで2カ月間にわたって掲示板で盛りあがった、この電車男の話題に対して出版の申し出が8〜9社から寄せられ、新潮社からの出版が決まった。
オタク男の純粋さに感激
『電車男』のヒットの要因として、まず純愛ブームにのったことがあげられる。恋愛にオクテの青年が恋人をゲットするまでの純愛物語が、リアルタイムで進行する面白さは、創作である『世界の中心で、愛をさけぶ』や『冬のソナタ』を上回るものがある。
ネットの書き込みを同時進行で読む面白さを、本の形で再現できたことも大きい。パソコン上で描かれたアスキーアートといわれる絵や絵文字をそのままの形で編集したことが効果を発揮した。
さらに読者層がネットユーザー以外に広がりをみせたこともヒットの要因だ。ネット上での前評判から、出版前に書店からの注文が殺到し、ネット書店の予約ランキングでも上位に入る。初版部数は1万2000部ながら発売日には5万部までの増刷が確定した。
発売時の読者は20代の男性がメインで男女比は約7対3であったが、11月を過ぎると女性の比率は45%にまで増えた。週刊誌『アエラ』の特集で「オタク男の純粋さに感激」と紹介された20代30代の女性、さらに40代男性へと読者層は広がりをみせていく。
この読者の広がりは、新潮社サイドの狙い通りだった。担当編集者の郡司裕子氏はこう話す。
「『電車男』は実在する男性の恋愛の話ですが、ノンフィクションではなく“新しい文学”として売り出しました。本の表紙に2ちゃんねるという文字は出さず、書籍コードも日本文学の分類です。だから書店でもパソコン関連本やノンフィクションではなく文芸書のコーナーに置いてもらえました」
『電車男』というタイトルも効いた。部数決定の会議で郡司氏は「〜男という小説はみんな売れています」と主張したという。安部公房の『箱男』、ミステリーの『脳男』『ハサミ男』など、確かに「〜男」というタイトルの小説にはヒット作が多い。文芸書のコーナーに『電車男』のタイトル。しかも版元は文芸出版の老舗・新潮社となれば、ネットへの関心が薄い本好きの人にも興味をもって手にとってもらえるというわけだ。
新潮社には映画化、ドラマ化をはじめ舞台、マンガ化などの申し込みが30件以上寄せられているという。『世界の中心で、愛をさけぶ』や『いま、会いにゆきます』と同じように、『電車男』も映画化やドラマ化されれば話題がさらに盛り上がることは間違いない。このブームは05年へとまだまだ続いていきそうだ。
「電車男」早わかり5つのポイント
1 ネット掲示板「2ちゃんねる」の書き込みをまとめた本。
2 22歳のオタク青年「電車男」が、電車のなかで酔客にからまれていた年上の女性「エルメス」を助けたことから始まる実録ラブストーリー。
3 恋愛経験のない「電車男」の助けを求める書き込みに対して、多くのアドバイス、はげましが寄せられて盛り上がる。
4 10月20日に新潮社から出版、45万部のベストセラーとなる。
5 映画化、ドラマ化など30件以上の問い合わせが殺到する。
2004年12月04日 00:00
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