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2005年04月18日
朝日新聞 05/04/17 ニュースに迫る 「電車男」どこのだれ
オタク青年の恋 ネット仲間が応援
<めしどこか たのむ>。恋に落ちた男がインターネットの掲示板「2ちゃんねる」上で助けを求めた。<キタ―――♪> <なんかいいとこ探しとくんで>。掲示板の「住人」たちは火がついたように声援を送る。初デート、そして告白へ。オタク青年の恋と、仲間たちの友情。物語は本となり、「リアル・ラブ・ストーリー」のうたい文句でベストセラーに。ネット上では、創作ではとの声も根強い。「電車男」は本当にいるのか。いるとすれば、だれなのか。
メディアに顔出さず
本の編集者「朴訥な人」
「結局、真贋論争が書きたいんですね」
版元の新潮社で編集を担当した郡司裕子さんの話しぶりに、いらだちがにじむ。初めて目にした夜、3時間で読み切ったという。私には何度読んでも、モテない男の願望そのままの筋としか思えない。
「電車クンは朴訥とした、いい青年ですよ」
打ち合わせで会社に来た時も、受付で「電車です」と名乗ったのだという。
なんとか本人に会わせてもらえないだろうか。
「メディアに出ると、リスクを負いますからねえ」
せめて声だけでも。
「メールなら応じてくれるかもしれませんよ」
とりあえず、郡司さん経由で、質問を送ってみた。
『2ちゃんねる宣言』の著書があるフリーライター井上トシユキさんも疑いのまなざしを向ける一人だ。
「『電車男』が始まった昨年3月は、ブログ(日記形式のウェブサイト)が生まれ、「2ちゃん」の注目度が下がっていた。『冬ソナ』や『世界の中心で、愛をさけぶ』の純愛ブームに乗って注目を引こうとしたのではないか」
ある調査会社によると、「2ちゃんねる」の視聴率にあたる「ページビュー(閲覧回数)」は『電車男』が始まる前の2月、2億で底をついていた。ハッピーエンドを迎える5月には、3億3千へ跳ね上がったという。
井上さんが創作だと疑うには、もうひとつわけがある。
<今度の金曜日に彼と初体験します>。女子高生を名乗る投稿を受けて、書き込みが殺到したことがある。『電車男』と同じ書き込み欄だった。盛り上げるためのネタを流すのは、ネットでの常套手段という。
昼夜を問わず続いた『電車男』の書き込みは大半が匿名で、追跡できない。
本当か「証明は無理」
「本人」、メールで回答
ネット上でうわさされたのは、出版原稿の元となる「まとめサイト」をつくった「中の人」という人物だった。私もメールを送ったが、返事はない。「彼には妻もいるから、ネットにかかり切りになってたら、家庭は壊れてますよ」と、井上さんは言う。
じつは、別に思い浮かぶ顔があるという。かつて「2ちゃんねる」の運営にかかわったことのある知人に「電車男」はだれか、とたずねたところ、こんな答えが返ってきたからだ。
<井上さんも知ってる人かもしれませんよ>
3月末、私はその人物、「2ちゃんねる」管理人の西村博之さん(28)に会った。彼は、待ち合わせの時刻から20分ほど遅れてきた。昼すぎに「きょう、新宿のすし屋でなら」と連絡を受け、午後7時に店を予約していた。
<オリンピックに感動するように、作り物の恋愛話より現実のほうが感動できると思います>
新潮社のホームページに、そんな言葉を寄せている西村さんにたずねてみた。
―――「電車男」って、どんな人なんですか。
「教室の一番前とかに座っているようなタイプ。こう言っちゃ悪いけど、ウソをつけるほど賢くない」
―――どうして彼が本人だと言えるのですか。
「何度か会って、それとなく事実関係を聞いたから。でも、書かれた中身までは確かめようがないですよ」
私は、この恋物語自体はフィクションで、書き込みはノンフィクションではないか、と考えていた。つまり、創作と、実際に起きた反応が混ざりあった物語ではないか、と。
「ありえるかもしれませんね。『実在・捏造説』なら」
西村さんはフフッと鼻をふくらませた。
「もし、ウソだと証明されたらゴメンナサイしますよ」
本のなかに、ひとつだけ検証可能な記述がある。2人の出会いを描いた場面だ。
2004年3月14日、秋葉原から京浜東北線に乗った「電車男」が酔客に絡まれる女性客を助け、車掌がこの酔客を警官に引き渡した―――。
京浜東北線を管轄するJR東日本東京支社にたずねると、車掌が持ち場を離れる場合は報告が義務づけられているという。「この日にはありません」(広報担当者)
とすれば、そもそもウソなのか。あるいは、部分的に事実を変えたのか。
待ち望んだ「電車男」からの回答が編集者から転送されてきたのは、ちょうど西村さんと会っている最中だった。
<その部分がどうかとは言えませんが、各所に色々な配慮がしてあるかもしれません。多分。>
否定も肯定もしない。説明も説得もない。真贋論争についても<真実であることも嘘であることもどっちも証明できませんからね>。
この人ではと思ったが
「残念ですが違います」
西村さんと別れた後、あらためて「電車男」からのメールを読み返した。発信時刻は「午後7時04分」。西村さんが現れる15分ほど前だ。待ち合わせた新宿駅前のすし屋は、彼の自宅から歩いて10分ほどの距離にあった。
「電車男」を名乗って返信メールを送り、その足で私に会いに来た。やはり、彼ではないのか―――。しかし、それを裏付ける証拠は何もない。
かすかな失望感を抱えていたら、作家の重松清さんからたしなめられた。
「『電車男』がだれなのかとか、書かれているのがホントかウソかなんて問いつめるのは無粋だよ」
重松さんはこの物語を「作者のいない青春小説」と名付ける。「ウソかホントかではなく、求められているのはリアルさではないでしょうか」
「リアル」という言葉には二通りの意味がある。ホンモノという意味と、ホンモノっぽいという意味と。
重松さんには、『電車男』の恋が事実かどうかより、その筋書きが熱狂的な反応を呼んで『電車男』という物語が生まれたことのほうが重要だと思える、という。
「真珠だって、異物が貝の中に紛れ込んでできた宝石でしょ」
それでも私は、原稿締め切り前日に西村さんへメールを送ってみた。「電車男」はあなたではないですか―――、翌16日午前10時16分、返事が届いた。
<いやあ、思惑に応えられなくてすいません、残念ですけど違います>
やはり、無粋だったか。
『電車男』
電車内で酔っぱらいから若い女性を救ったオタク青年に、高級ブランド「エルメス」のティーカップが贈られてくる。助けた女性からだった。
デートに誘いたい。でも、どうしていいかわからない。「22歳。ルックス秋葉チャン」という青年は、モテない男たちが集うネット掲示板に助けを求める。「電車男」と「エルメス」と呼ばれるようになった男女の恋の物語を、ネット仲間が励まし、アドバイスを送る。
ネット掲示板「2ちゃんねる」で話題となり、昨年秋に『電車男』のタイトルで単行本化され、55万部を超えた。
出版に際しては、主人公の「電車男」、掲示板の書き込みをまとめた「中の人」、掲示板「2ちゃんねる」の管理人の3者が打ち合わせたとされ、印税の対象者については明かしていない。
作品は三つの漫画雑誌で連載され、6月に映画が公開される。
2005年04月18日 23:52
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4月17日の朝日新聞(朝刊)で電車男が取り上げられてた。
天声人語も言及。ほんの少しだけど。つかエルメスが酔っ払いに絡まれたのは夜じゃないだろ。
 ...
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» いまさら電車男 from nmtalks.com
映画化、ドラマ化までされた「電車男」ですが、やはり、このストーリーはつくりだったのではないか、という記事があちこちに出ています。
トラックバック時刻: 2005年08月26日 20:09