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2006年08月01日

米国のオタクと電車男 毎日新聞 東京夕刊 06/07/10

オタクに国境なし−−。ディズニーランドがあるカリフォルニア州アナハイムで今月初め、アニメ・エキスポが開かれた。コスプレや着ぐるみの高校生ら約4万4000人があふれる会場で、映画版「電車男」を見た。女性とデートしたことがないオタクが電車の中で酔っぱらいに絡まれていた美女を助け、ネット掲示板の仲間の助言を受けながら恋を成就させる物語だ。

観客の多くは10代の若者。字幕映画なのに間髪入れず反応する。山田孝之が演ずる主人公がエルメス役の中谷美紀と手をつなぐと、「トレインマン(電車男)行け行け」。エルメスが悲しい顔で「もう会わないほうがいいのかもしれませんね」と言うと、すすり泣く声が。見ると、斜め前の席の女子高生が涙をぬぐっている。2人がキスする場面ではウオーと地鳴りのような喝さいが起こり、男子学生が立ち上がってガッツポーズした。言語や文化の差は全く感じられない。観客は100%、電車男の気持ちに寄り添っていた。

米国の高校生活は人気度でヒエラルキー(階層)が決まる。一番人気は通常、フットボール選手やチアリーダー。ほかに運動バカは「ジョック」、ガリ勉は「ブレイン」、演劇に熱中する「ドラマ」、麻薬漬けの「ストーナー」、どのグループにも属さない「ローナー」などと集団ごとに俗称がある。アニメや漫画、コンピューターゲームに没頭する米国版オタクは「ギーク」と呼ばれ、最下層を構成する。コンピューターの興隆やビル・ゲイツの活躍で、ギークの地位は昔より良くなったが、それでもつらいのだろう。電車男の映画を見終わった後で高校生の一人が「こんなのやっぱり夢物語。ギークに恋人はできないんだ」とつぶやいたのには、泣けた。

「米国のコミックは勧善懲悪でマッチョすぎ。日本アニメや漫画の登場人物は血を流し、泣く。ヒーローにも暗い側面があり、悪者にも戦う理由がある」。会場の高校生は口をそろえる。みんながフットボール選手やチアリーダーになれるわけがない。ギークの悲哀が日本のアニメや漫画のブームを下支えしているような気がする。

今年のウェブスターの辞書にMANGAという言葉が入った。ANIMEはとっくに辞書入りしている。米国最大のサブカルチャーとなったアニメと漫画は、米国のオタクの力を借りてじわじわと主流に近づこうとしている。(ロサンゼルス支局)

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20060710dde012070015000c.html

2006年08月01日 00:52

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